組織科学
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34 巻, 1 号
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特集
  • 清成 忠男
    2000 年 34 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     一方における社会的要請,他方における大学の財政的自立といった事情から,教育・研究両面における産学連携の必要性が強まっている.現実に産学連携が進みつつある.教育面では職業人に対する継続教育のニーズが強く,産学連携が不可避である.また,研究面では,大学が基礎研究を進めシーズを蓄積しておくことが前提になる.ただ,産学連携による研究開発にあたっては,大学人と企業人の双方において,職業人としてのモラルが必要になる.
  • 長平 彰夫
    2000 年 34 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     産学連携による新商品開発を行う場合の最大の問題は,研究開発段階と製造販売段階との間に大きなギャップが存在することである.したがって,このギャップを埋めるマネジメント手法と,それを実行する人材(コーディネーター)の役割がきわめて大きい.㈶久留米・鳥栖地域技術振興センターのコーディネーターである坂本弘明氏は,このギャップマネジメントとして出口を押えたステージアップ型研究開発事業を考案し成果を挙げている.
  • ――ドイツから学ぶ起業促進,ノンリニアな産学のあり方――
    前田 昇
    2000 年 34 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     日本で動き出した大学特許等を産業に橋渡しするTLOによる産学連携は,いわゆるリニアモデルであり,一方向の知の移動からは事業創出の可能性は少ない.ドイツのアン・インスティチュートやフラウン・フォーファ協会の産業とのつながりは,連携というよりも結合でありモード2で呼ばれるノンリニアな効果を生み出している.技術系ベンチャーが3年連続して倍増し,大学からの起業は米国を上回る,という活気をこの数年呈しているドイツの最近の動きを調査研究し,日本への提言を試みた.
  • 山口 栄一, 水上 慎士, 藤村 修三
    2000 年 34 巻 1 号 p. 30-44
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     技術創造の方法論として,基礎研究から開発に至る線形モデルは衰退し,技術と科学とのフィードバック・ループによるモデルの有効性が高まってきた.そのため「実行情報」の担い手の共鳴場を作ることが急務の課題であり,大学等の研究施設を企業に開放するなど研究者の地域的集積を図る必要がある.公的な研究支援では,研究主体とは独立し自己革新の契機をもった目標設定と評価の主体が不可欠である.
  • 榊原 清則
    2000 年 34 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     日本の産学連携は実りに乏しいといわれ,大学がしばしば批判されている.だがそれは大企業を中心とする偏見の疑いがある.中小企業やベンチャー企業に着目すれば,むしろ実効性の高い産学連携が進んでいることを,データは示しているからである.本稿では,産学連携の日本における実態を明らかにし,知識生産システムの変容を論じている.
  • ――特許データによる実態分析およびマネジメントに関する主要国の現状――
    伊地知 寛博
    2000 年 34 巻 1 号 p. 54-75
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     知識生産の主要なアクターである大学と知識を経済・社会的価値に変換する主要なアクターである企業との連携がますます求められている.しかし,産学間のインタラクションでは,必然的にその利害に相違があり,利益相反のマネジメントが重要となる.本稿では,利益相反のマネジメントが実際に重要であることを浮き彫りにし,主要諸国における利益相反のマネジメントに対する取り組みの制度・運用面での現状を示し,日本の現状と比較する.そして,利益相反のマネジメントは,とくに法人化された大学においてはコーポレート・ガバナンスの課題の一つであり,その質的な向上を図るためには,先進的な経験に倣ってベンチマーキングの概念を援用することが有益であろうということを示唆する.
自由論題
  • ――NC(Numerical Control)アーキテクチャーの進化事例――
    柴田 友厚
    2000 年 34 巻 1 号 p. 76-94
    発行日: 2000年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     20世紀に創出された産業である航空機,通信,コンピュー夕産業などの特徴は,システム複雑性をもつことである.システムとしての製品を設計する際重要なのは,要素技術の性能もさることながら,製品システムをサブシステム間にどのように分断し,どのようなインターフェースを設定するか,ということであろう.しかし,無数に存在する分断方法の中から最適な分断方法を発見するのは容易ではなく,システム全体に関する豊富な知識,経験が必要とされる.したがって,適切な分断方法の選択の背後には,ある種の学習メカニズムが存在するはずである.本稿ではそれを,分断による学習として概念化を試み,その有効性と説明力について考察する.
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