本論で試みることは,新しい人材マネジメントモデルを考えるにあたって,必要な論点の整理である.そして,そうした作業を行うにあたって,これまで議論されてきた内部労働市場を再び積極的な人材マネジメントモデルの原型として考えてみたい.いいかえれば,外部市場にたよらず,企業や組織がみずからの人材のマネジメントを自分の手で行うことの意義と効用を考える.私の希望は,そうした議論のなかから,今の人材マネジメント実務でみられる動きに関して議論がおこり,今後の流れがもう一回理論的な立場から考え直され,新しい人材マネジメントへの議論が起こることである.