2012 年 46 巻 1 号 p. 71-81
本稿は,セラミック・コンデンサ産業の競争を分析し,日米逆転の理由を探索するものである.分析からは,半世紀弱の産業競争の中で,戦略を変更した企業は一社として存在しなかったことが明らかになる.1980年代の日米逆転を導く基本的条件は既に1945年時点で準備されており,逆転を果たした日本企業も,逆転を許した米系企業も,その後は根本的な戦略変更を一度も行っていなかった.ここから本稿は,同産業において戦略硬直化をもたらすスパイラルが作用したのではないかとの試論を行う.