社会政策
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福祉レジーム分析の可能性 : 戦後日本福祉国家を事例として(<特集>社会保障改革の政治経済学-社会政策学会第115回大会共通論題)
新川 敏光
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2009 年 1 巻 2 号 p. 49-63

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抄録
福祉国家とは,単なる社会保障政策の束ではない。それは,資本主義経済と民主主義政治を切り結ぶものとして概念化されるべきものであり,その文脈から脱商品化と社会成層化という二つの軸に即し,福祉国家の4類型が導出される。これは,エスピング-アンダーセンのいう白由主義,保守主義,社会民主主義に,家族主義類型を加えたものである,日本は,南欧諸国とともに,この家族主義モデルに分類される。類型論的に日本を位置づけた後,日本の福祉レジームの変容を発展期と縮減期に分け,縮減期をさらに家族主義の強化の段階と衰退との段階に分け,これら3期の福祉政治過程の特徴を,階級政治,政党政治,政治戦略,官僚政治,各々のダイナミズムから重層的に分析する。最後に,縮減の後にくる再編の可能性について,国境を超えた市民性の確立という問題を中心に論ずる。
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© 2009 社会政策学会
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