社会政策
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地方分権下の地域社会における社会福祉法人制度改革の意義
―公益的活動の法制化に着目して―
村田 文世
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2018 年 10 巻 1 号 p. 136-147

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抄録

 今般,社会福祉法人制度改革において社会福祉法人の公益的活動が法制化された。本稿はその公益的活動に関して,従来の地域福祉論とは異なる地方自治の視点から地方分権下の地域社会における意義を検討するものである。同時に実証研究のための理論仮説の生成も意図している。最初に,経営学の「事業ドメイン」の定義を援用しつつ公益的活動について理論的に整理し,次に,地方分権下の地域社会を巡る環境変化(基礎自治体の役割変化,市町村合併と行政区域の再編,求められる地域再生)を踏まえた上で,意義として,政策立案過程への寄与,分権型社会における地域協働の推進,「コミュニティ・エンパワーメント」の実現の3点を検討した。しかし,これらには社会福祉法人の組織ガバナンス改革は勿論,行政内部の連携や公私連携が不可欠であり,本改革が地方自治体にとっても地域経営のあり方が問われる改革になることを述べ,実証研究に向けた課題に言及した。

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© 2018 社会政策学会
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