社会政策
Online ISSN : 2433-2984
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小売業における雇用形態別従業員編成に関する考察
―百貨店,総合スーパーの事例を中心に―
野村 かすみ
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2018 年 10 巻 1 号 p. 122-135

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抄録

 本研究は,小売業における企業の雇用形態別従業員編成のメカニズムを百貨店2社,総合スーパー1社の事例調査結果から考察することが目的である。考察にあたっては,まず小売業事業所の従業員構成の特性を抽出する目的で既存アンケート調査の二次分析を行い,小売業では正社員は少数精鋭に絞り,非正規従業員を基幹的な労働力として活用していることを再確認した。 その前提で,事例分析からは,既存調査の指摘の通り,小売業企業は利益と費用としての人件費の効率化の関係の下で非正規従業員の基幹化を進めていること,すなわち,従業員編成には企業内各レベルでの「経営計画」や「財務目標管理」が影響を与えていることを確認した。また,本研究では,人事管理において職能による管理か職務による管理かにより人事情報の共有のあり方が異なり,「情報の一元化」の度合いなど情報共有のあり方や経営計画の変更スパンなども従業員の非正規化に影響を与えることの考察の重要性を示唆する。

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© 2018 社会政策学会
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