社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集■現代欧州の労働組合と労使関係
フランス労働総同盟の組織構造
―「企業別組合」論への示唆―
赤堀 正成
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 10 巻 1 号 p. 95-107

詳細
抄録

 フランスでは1968年5月のいわゆる「五月革命」を経て,ようやく企業内における労働組合活動が法認された。とくにフランス労働総同盟(以下,CGT)は第二次世界大戦後間もなくから企業内における労働組合活動の自由を強く要求してきた経緯があり,企業別・事業所組織を単位組合(サンディカ:syndicat)として位置付け,サンディカの主体性のために「分権化」を基調としている。 このような点に注目すれば,CGTの組織は,企業別労働組合を基本単位とする日本の労働組合組織とよく似ているように見えるが,その行動様式や在り様はかなり異なり,CGTは職場と地域において戦闘的な運動を展開することでよく知られている。本稿では企業別労働組合を基本単位としながらも日仏に見られるような対照的な労働組合運動が現れる理由をCGTの組合費の分配を含む組織構造の面から考える。

著者関連情報
© 2018 社会政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top