社会政策
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Print ISSN : 1883-1850
所得政策の現在
賃金政策:近年の賃金動向と「逆・所得政策」
久本 憲夫
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2019 年 10 巻 3 号 p. 10-25

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抄録

 所得政策とは賃金をめぐる労使交渉への国家介入であり,歴史的には,インフレーション脱却のための賃金上昇を抑えようとする政策,つまり「名目所得(賃金)抑制政策」といってよい。それに対して,近年日本政府がおこなっている賃金政策は,デフレーション脱却のために賃金を引き上げようとする労使交渉への国家介入であり,「名目所得(賃金)促進政策」である。その意味で「介入的賃金引き上げ政策」,あるいは単に「逆・所得政策」と呼ぶのがふさわしい。このように歴史的に珍しい政策を政府がとる,それも保守政権がとるのはなぜなのであろうか。 本論文では,まず近年の日本の賃金動向とその原因について検討する。ついで,現代日本の賃金決定メカニズムの把握に努める。そのうえで,「逆」所得政策を(1)最低賃金引き上げ政策と(2)標準賃金引き上げ政策に分けて,その経過・意義・限界について論じる。

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© 2019 社会政策学会
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