2020 年 12 巻 1 号 p. 27-41
政府が教育に介入し公的支出が利用される上で,その成果や資源配分の効率性に対し,客観的な把握,議論は不可避のニーズと言えよう。経済学では欧米諸国を中心に,教育の資源投入と効果の因果関係に係る実証研究,及びその結果を用いた政策の定量評価が過去半世紀にわたり蓄積されてきた。従来の日本は,厳密な定量分析に耐えうるデータの収集・整備・公開が限定的であったこと等から,諸外国に比べ教育効果の定量研究の蓄積に遅れを取っていた。しかし昨今,利用可能な学力調査データ等の増加,多分野の研究者による定量研究成果等の発信に伴い,定量分析による政策評価への関心が急激に高まっている。本研究は教育効果の定量分析に用いる基本的な概念や手法の説明を交えながら,今日までの教育効果の定量分析が何を明らかにできたのかを整理する。その上で,政策の設計や選択に寄与する精緻な定量分析の実施や,その結果の取り扱い方についての課題を議論する。