2020 年 12 巻 1 号 p. 71-85
経済成長の過程で男性フルタイム正社員と主婦という家族モデルを普及させた日本とドイツ(西ドイツ)を取り上げ,出産後の就業継続・断絶の状況が1990年代~2010年代に到って変化したのか否か,変化を支える条件があるとすれば何かを検討する。日本でもドイツでも女性の就業・活躍と出産・育児の両立を支援する政策が近年進み,特にドイツではケアを男女共同で行う就業 - ケア共同モデルが提起されるに到っている。そうした中,共働き世帯の増加が見られる一方で,子どもの出産・育児期における就業の断絶とそれによって形成される出産後主婦モデルが,両国でいかに変化してきたかを確認する。その上でドイツが日本と大きく異なる点として,出産・育児後に就業する際のパート(時短正社員)の雇用形態が,男女が共同して就業 - ケアを行うという家族モデルの形成にどのように資しているかを論じる。