日本は,1959年より全ての国民が年金制度に加入することとしているが,給付を受けるには本人が保険料を納める必要があることから,制度の維持には保険料を徴収する為の事業運営が鍵となる。年金の事業は給付までの期間が長期に及ぶことから,人の移動を考慮して国が行うことが適切とされ,2000年以降国が実施している。しかし,制度が開始したときは自治体に任されていた。なぜ最初から国が行わなかったのか。
本稿では以上の問題意識を踏まえ,発行されている国(厚生省)の資料と自治体のオリジナルの資料を使用して,国民年金事務組織決定までのプロセスを分析した。そして,従来の資料では役割がわからなかった行政審議会が調整機関としての役割があったことを明らかにするとともに,当時の国民年金事務は「透明性・一貫性のある適正な管理」と「住民サービス」のという二つの視座から検討されていたことを明らかにした。