社会政策
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イギリス国民健康保険制度(1911~46年)における歯科治療
――歯科給付をめぐる諸問題――
梅垣 宏嗣
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2022 年 14 巻 1 号 p. 146-156

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抄録

 イギリスでは,両大戦間期を通じて,口腔状態に対する人々の関心が高まっていたが,労働者階級に主に歯科治療を提供していたのは,国民健康保険制度であった。ただし,同制度の下で歯科給付を受けることができたのは,可処分余剰のある豊かな認可組合(運営実務を担っていた民間組織)に加入している被保険者だけであった。さらに,認可組合が提供する歯科給付は,必ずしも歯科治療費の全額を保障したわけではなかったので,治療費の自己負担分を支払うことのできない被保険者は,歯科治療を受けることができなかった。また,加入期間・拠出期間を満たしていない,若い労働者は,給付請求資格を得るまで,歯科治療を受けられなかった。このように,同制度において充足された歯科治療ニーズは限定的なものであり,その隙間を埋める民間の取り組みも不充分であったが,公的財源による歯科治療の拡充の実現は,戦後福祉国家体制の成立を待たなければならなかった。

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