2022 年 14 巻 2 号 p. 58-69
本論文は,豊中市・生活困窮者自立相談支援窓口への来談者を対象とする質問紙調査およびインタビュー調査データを用いて,来談者の特徴,支援ニーズ,そして支援サービスへの評価を分析した。分析の結果,以下の2点がわかった。第一に,来談者は多様な背景を持っており,コロナ禍において経済的に困窮しながらも家族や友人には頼れずに,「行政や地域の相談機関・相談員」へ頼っていることがわかった。第二に,インタビュー調査より,複合的な問題を抱える来談者にとって,家族・友人以外の「頼りになる存在」=「制度的な弱い紐帯」を獲得する体験は,来談者の「セーフティネット」として認識され,たとえ来談者の困りごとが解決されなくても,前を向いて生き続けるための糧となっていることがわかった。この結果は,豊中市の生活困窮者自立相談支援事業の窓口において「伴走型支援」が実践されており,それが来談者の高い評価に繋がっているということを示している。