近年、注目を集めている関係的自律の構想は、他者や環境との関係性に埋め込まれた主体を前提としており、従来の個人主義的な主体を前提にした自律のオルタナティブとして提起されてきた。本構想が注目を集める背景には、科学技術の急速な発達に支えられた社会環境の変化がある。本稿では、こうした主体観・自律観の変容とその背景にある社会環境の変化を「関係論的転回」と捉え、それがもたらす諸問題を整理するととともに社会政策への含意を検討した。関係的自律の構想は、新たな社会環境がもたらす主体への影響に自律の支援という積極的意義を付与する一方、外部からの介入のあり方を問い直す議論を喚起する。主体と自律の「関係論的転回」は、主体と環境の相互浸透を促進するものであるが、それにより近代社会が前提としてきた両者の区別はレリヴァンスを次第に失いつつある。今後の社会政策はこれを踏まえて再構成される必要に迫られている。