2013年以降、日本においては学生のアルバイトに関する労働問題が注目を集めている。背景には親世帯の所得の減少、学費の値上げ、奨学金制度の不備に加え、使用者側の逸脱的労務管理の問題が指摘されている。これらの実態についてはすでに多くの事例報告が存在している一方で、学生アルバイトの問題をどのように分析すべきであるのかについての検討は不十分なままである。
そこで、本報告においては学生アルバイト問題の実態を概観したうえで、この問題にアプローチする際に検討されるべき論点を多角的に提示する。第一に、社会政策的アプローチと労使関係論的アプローチの差異について検討する。どちらのアプローチに立つかによって問題の性質の理解、解決の方法、研究すべき論点は大きく異なってくることを示す。第二に、労働過程及び雇用関係の実態について検討する。さらに、第三に、これらが新型コロナ禍以後に被った変容について考察を加える。