2024 年 16 巻 1 号 p. 214-227
スウェーデンのコミューン(基礎自治体)の多くではホームヘルプ事業においてバウチャー制度の一種とされるサービス選択自由化制度を導入し、介護住宅では同制度を導入するコミューンもあるものの競争入札による民間事業者への運営委託がより一般的である。首都ストックホルム市では介護住宅全体の約8割を営利事業者に運営委託している。さらに住宅庁主導による国庫補助は従来の公設の介護住宅に加え、一般住宅市場における高齢者向け賃貸住宅の新築や立て替えも対象としており、その結果、民間所有の高齢者向け住宅が登場している。入居者同士の交流に寄り社会的孤立を防ぐことを目的とした「安心住宅」にも民間経営のものが増え、その誘致に力を入れるコミューンもある。スウェーデンには「開かれた比較」「高齢者ガイド」という介護の質、政策の評価システムがあるが、介護の市場化が進むなか、これらはどのように運営され、機能しているのか。X市での現地調査をもとに、従来の評価システムの変容と動向を整理し考察する。