2024 年 16 巻 3 号 p. 128-140
本論は、大阪府立通信制高校の就職指導・支援の実態を解明しその課題を検討する。全日制とは大きく異なる学年・学級編成と教育課程と教員組織は、学校斡旋の就職に必要な細やかなプロセスとうまくかみ合っていない。卒業年次の異なる生徒が第1~8年次の各学級に在籍し、就職希望者が偏在している。授業時間はバラバラであり、教員が集まる機会ももち難い。しかも高校教員は小中校教員と比べ学級経営の意識は高くない。同時に多くの生徒は、学校斡旋に乗ること自体に困難を抱えている。このため、全日制のように担任が中心となって就職希望の生徒とやりとりし、進路指導部と連携することが難しい。このなかで就職指導・支援の効果を上げるには、校長のリーダーシップ機能が重要だが、それだけでは足りない。そこで調査対象校では、教員たちと学外関係者を含めた分散型リーダーシップを機能させ、学びの保障の先に進路の保障が実現されるよう努めてきた。