2016 年 8 巻 2 号 p. 114-125
本研究の目的は,世帯更生貸付金制度が生活保護行政に果たした役割について明らかにすることである。1950年代後半,生活保護受給者の増加とその周辺の大量の低所得層の増加が生活保護行政の転換に影響を与えたと考える。そこで,生活保護の第一次適正化と世帯更生資金貸付制度を中心とした低所得層対策の関係性を考察する。日本の生活保護行政は,低所得層対策と関連しながら引締め策を展開してきたと考える。その過程は,ワーキングプアを排除してきた変遷でもある。この課題を解くことによって今日の生活困窮者に対する自立支援策の課題に示唆を与えたい。