抄録
本論文は, プロジェクト・マネジメントの知識分野をナレッジ・マネジメントの対象として考察する. プロジェクト情報の有効活用に関しては, 2つの重要な課題 - 情報の整理の問題と情報の蓄積と再利用の問題がある. 前者は, 何を管理するか, 管理する対象をどのような体系として整理し利用者に知らせるかという課題であり, 後者は, プロジェクトに必要な情報を確実にかつ効率的に利用できる環境を構築し, その仕組みをベースにより付加価値の高い情報および知識を蓄積して, それらを有効に活用するということが目的となる分野である. 本論文では, まず, かくあるべきとして整理したプロジェクト管理情報の体系を紹介する. 次に, この体系を実際に導入使用した経験をベースに, プロジェクト情報=プロジェクト・マネジメント・ナレッジの体系をより汎用的に洗練させるための考察を行う. 汎用化という観点では, 次の2つの材料を取り扱う. PMBOK:Project Management Body of Knowledge, ソフトウェア・プロセス成熟度モデル:CMM (Capability Maturity Model)