抄録
日本的品質管理は, 20世紀後半の我が国の発展を管理の面から支えてきた技術として世界的に注目されることになった. この技術は規模の大小に係わらず, 我が国の企業に浸透している. 一方で社会システムの変化は, 日本的品質管理に支えられたリーン生産の最適性に終焉を告げ, 同時に新たなる管理パラダイムとしてプロジェクトマネジメントの導入を求めている. ここで日本的品質管理の本質に注目してみると, 多くの部分でプロジェクトマネジメントとの共通点が存在することに気づく. 本研究は, 日本的品質管理を基本とした, 円滑なプロジェクトマネジメントへの移行を探るべく, 企業のプロジェクトマネジメントに対する実態の調査を行った結果を報告するものである. 結果, プロジェクトマネジメントに対する認識が極めて低いこと, ISO9000sの実効性の低さがプロジェクトマネジメント導入の足枷となっていることなどが示唆された.