抄録
近年日本でも、とみにプロジェクト・マネジメントへの関心が活発になってきている。業界を問わず日本全体が閉塞感を打破しようともがき苦しんでいる中、プロジェクト・マネジメントがその有力なツールとして注目されて来ている様に思われる。一方で、企業のマネジメント層(経営責任を持つミドル又はトップマネジメント)からは「容易に適用可能で、直ぐに実益が得られ、且つ説得性のある」と言ったやや矛盾したシナリオと手法の提案が望まれている。それだけ日本の産業全体とマネジメントに余裕が無くなったとも言えるのでは無かろうか? 実際そんな都合の良い魔法がある訳はないが、それに近い効率的手法が最近話題となってきた「制約条件の理論(T.O.C)」であると考えられる。TOCは、エリヤフ・ゴールドラット博士が「物理学」の原理を応用したものとされており、思考プロセスをベースにしながらも用途に合った各種アプリケーションツール(SCM、BPR、PM等)が開発紹介されている。本論文はその中で、『TOC理論を使ったプロジェクト·マネジメント』に関してCritical Path Methodに代表される従来手法との比較をしながらその手法のポイントと効果を解説したものである。