抄録
プロジェクトに参加する複数の組織とその主体の社会文化的生態に焦点をあてる社会文化的アプローチ(SCA)を紹介し,SCAが求めるPMの技能としての境界横断と実践を著作し翻訳する活動を論じた.それらの技能が拡張的プロジェクト共同体のマネジメントとリーダーシップの発揮にどう関わるかを示した上で,インタビュー調査による複数の境界と越境の事例を紹介した.これらの議論に基づき,多様な境界の解消には,状況に埋め込まれた主体の見えを対話を通して理解し,境界解消のための筋書きを協同著作することが重要であり,それが周囲を巻き込み組織環境の変化を創出するというモデルを提案した.