プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
2011年度春季
セッションID: 1107
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1107 チームを「騒乱期」から「規範期」へ移行させたことによるパフォーマンス向上事例(一般セッション)
溝渕 隆森上 秀樹早津 英哉
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抄録

一般的にプロジェクトに問題が発生している場合,要員の新規追加が発生し,教育コストがかかることは自明であるが,それ以上にコミュニケーションコストがかかることをPMは意識しなければならない.問題プロジェクトを抱えているチームの多くでは,要員の変更が多数入ることで既存要員と新規要員との間で対立が発生し,チームの状態がいわゆる「騒乱期」の状態で停滞しやすい.また,チームビルディングにかける時間を惜しむあまり,チームの状態が悪いままで放置している例が散見される.松尾谷らの研究によると,チームのパフォーマンスは「形成期」「騒乱期」「規範期」「実行期」のうち「騒乱期」が最も低くなる.チームのパフォーマンス向上のためには,チームの状態を「形成期」の状態のまま留めておくか,あるいは,「騒乱期」から「規範期」へ移行させることが必要である.日本ではプロジェクトを進めるにあたってチームワークを重視し,高コンテキストなプロジェクト運営を前提としているため,チームを「形成期」の状態で停止させることは難しい.そのため,「騒乱期」から「規範期」へ移行させる必要があるが,移行に際しては非常に高い壁が存在する.この壁を越えていくには高いリーダーシップとロール・モデルが必要である.本論では,実際に問題が発生しているプロジェクトのチーム状態を分析し,「騒乱期」であるチームを「規範期」に移行させることでチームメンバを負のスパイラルから脱出させ,パフォーマンスの向上を行ったチームビルディング事例を紹介する.

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© 2011 プロジェクトマネジメント学会
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