抄録
失敗プロジェクトによる損失は大きな問題である.その影響は,顧客満足度の低下ばかりでなく,新たな事業への機会損失や他のプロジェクトへの負荷の増大,当該プロジェクトメンバーのモチベーションの低下,成功体験の機会損失など多岐にわたる.プロジェクトを成功させるために,品質の向上施策,QMSの構築,リスクマネジメント・審査による第三者チェック,プロジェクトマネジャーへのメンタリング,人事・育成,PM認定制度,などの施策を実施してきている.これらによって,一応の成果は見られる.しかし,全社的に見るとプロジェクト損失の与える影響は大きく,減少していないのが現状と言える.そこで,今までの施策を顧みて,失敗プロジェクトの反省,リスクの高かったプロジェクトからの教訓など事例を整理して今後に活かす必要がある.本稿では,プロジェクトマネジャーの育成に着目して,どのような対策が効果的か課題を含め抽出する.