抄録
石油増進回収技術の一つである低塩分濃度水攻法の油回収機構の解明を目的として、白雲母とオレイン酸の油-鉱物二相界面に対して、NaCl 水溶液、CaCl2 水溶液、精製水それぞれで掃攻した試料を準備し、20 keV の入射X線エネルギーでX線 CTR 散乱法の測定を行った。得られた CTR 信号から構造因子を求め、それに合う電子密度分布モデルを推定した結果、白雲母基板の表面に吸着したオレイン酸は、NaCl 水溶液あるいは精製水で掃攻した場合はあまり脱着しないのに対し、CaCl2 水溶液で掃攻した場合はよく脱着する可能性があることがわかった。これより、塩水の掃攻による白雲母とオレイン酸の油-鉱物二相界面における吸着構造の変化は塩水に含まれる塩の種類に依存するものと考えられる。