抄録
有機薄膜太陽電池が持つ大きな課題の一つとして無機系太陽電池と比較した際の相対的なキャリア移動度の低さが指摘されているが、これを改善するための方策の一つとして高移動度な結晶性有機半導体材料の交互積層界面が提唱されている。本研究では、分子の界面積層順序の違いによる界面構造変化を明らかにするとともに、エピタキシャル成長による有機半導体交互積層 pn 界面の構築を目的とし、エピタキシャル成長による高秩序な有機半導体 pn 界面の構築が既に確認されているペンタセン単結晶上 C60 界面の逆積層となる C60 結晶上ペンタセン界面の構築と結晶構造解析を行った。その結果、C60(111) 表面上に薄膜相ペンタセンがエピタキシャル成長することを確認するとともに、同じ分子間の界面であっても積層順序によって異なる接合構造が生じることを明らかにした。