抄録
YBa2Cu3O7-δ (YBCO)超電導膜用バッファ層としての CeO2 膜を、スパッタ成膜条件を変えてサファイア基板上に作製し、二次元微小角入射広角X線回折法を利用して表面近傍の膜深さ方向の <1 0 0> 優先配向性を評価した。実験室系の結晶優先配向性の評価では、CeO2 膜は厚い方が表面近傍の配向度は高いと推定されたが、本研究では、表面近傍の優先配向性の乱れは、膜厚の薄い方が小さい傾向を示し、スパッタガス種を純 Ar から10%O2-Ar に変更することで優先配向性の乱れを小さくできることも分かった。しかし、高品質な YBCO 超電導膜を得ることが可能な CeO2 バッファ層の成膜条件を選択するまでには至らなかった。