抄録
Fe K 端近傍の高強度/エネルギー可変/放射光を用いた共鳴 HAXPES を用いて、従来技術では非破壊分析することが困難であった埋もれた Cr2O3 膜/冷延鋼板界面近傍に存在する鉄の酸化に伴う価数変化(化学結合状態変化)を検証できることが確認された。具体的には、大気中に放置される冷延鋼板やステンレス冷延鋼板などにおける鋼材表面の酸化を抑制するためには、不働態膜として機能する Cr2O3 膜を膜厚 7.7 nm 以上形成することが、鋼材表面の酸化進行を抑制する工業的に有効な表面処理技術となることが初めて定量的に実証された。