抄録
銅やアルミニウムは、電気特性と強度特性のバランスに優れ、電線用導体や端子材として用いられる材料である。これらの特性最適化のためには、加工変形における原子レベルの構造変化の理解が不可欠となる。その分析手段としては、近年提唱されている引張その場X線回折 (以下、XRD) が有望である。今回の課題では、前回までの課題で確立した光学系を用いて、複数の温度において、純銅と 5000 系アルミニウム合金の引張その場 XRD を実施した。結果として、純銅においては室温と高温で構造変化の大まかな傾向は変わらないことを確認した。また、5000 系アルミニウム合金では、荷重曲線と対応した形の不連続な構造変化が、室温のみで見られることも明らかになった。