抄録
本研究では、20~60 代の日本人女性毛髪を対象として、BL47XU の微分位相X線顕微 CT を用いた高精度な毛髪内部の可視化を検討した。また、観察された毛髪内部構造に対して、毛髪タンパク質のカルボニル化や毛髪含水量との関連性を検討した。その結果、毛髪内空隙が加齢とともに増加する傾向が示唆された。また、空隙のほかに輝度の低い低密度領域がすべての年代の毛髪に対して確認された。空隙形成にはカルボニル化よりも含水量の影響が強いことが、また低密度領域はカルボニル化が進行するにつれて減少する傾向が示唆された