抄録
Fe 基アモルファスリボンには材料の熱処理による構造緩和と材料の脆さおよび磁気特性に相関があると考えられているが、具体的に構造緩和がどのように特性へ影響しているかは実証されておらず推測の域を出ていない。一方、放射光X線を利用した二体分布関数(PDF)の取得により、構成原子の熱処理による挙動を微視的に観測することが可能と考えられる。本研究では SPring-8 の BL04B2 を利用し、アモルファスリボンの PDF を測定、材料の構造と脆さや磁気特性などの特性との相関を明らかにすることを目的とした。得られた PDF プロファイルの熱処理温度依存性から、2.55 Å に見られた原子間距離が延びることによって Tc の上昇が起こる可能性が推測された。また、r = 4.20 Å のピークに起因する構造は Tc に関係が無いことが推測された。今後は本実験で得られた結果をもとに、テンションアニール材の構造の調査を実施していく。