抄録
顔料が分散媒中に安定に分散されているインクにおいては、顔料近傍に分散剤などが存在し、顔料と界面領域を形成していることが予想される。このことを検証するため、顔料の表面処理状態、分散剤の化学組成、分散剤の分子構造を変えた超微細顔料分散インクについてX線小角散乱測定を実施した。結果、顔料の表面状態及び分散剤の種類により、散乱プロファイルの明確な差が見出された。また、分散安定化されたインクでは、粒子間干渉に由来する散乱強度の構造因子に大きな顔料濃度依存性があり、インクの分散状態を知る手がかりとなる知見が得られた。