抄録
溶体化処理を施したAl-Zn-Mg-Cu系A7075合金に巨大ひずみ加工の一種であるHPT加工を施し、結晶粒径100 nmとしたバルクナノメタルに対し、353 Kもしくは383 Kで時効を行った時の析出挙動をIn-situ X線小角散乱測定により調べた。その結果、383 K時効では析出物の核生成サイズが半径4 nm程度であり、従来粒径を有するA7075合金におけるピーク時効時の析出物サイズの倍程度であることが分かった。このことはバルクナノメタルでは容易に過時効となり、析出強化量が小さくなることを示している。また、時効温度を下げることによって析出物の核生成サイズを小さくすることは可能であったが、析出物の体積分率が低下した。