抄録
貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒の反応機構を明確にするために、X線吸収微細構造(XAFS)のその場測定に取り組んでいる。今回、ペロブスカイト系金属酸化物触媒(La0.6Sr0.4Mn0.7Co0.3O3)の発電反応における過酸化水素(HO2-)の低減要因を検証するため、in-situ XAFS測定により電位変化に対するMn、Coの配位数・価数の差異を比較調査した。Co近傍に酸素欠損が生じ、低配位数化したCoが酸素還元反応を促進させていることが分かった。当該Co近傍の酸素欠損はCoとMnのBサイトでの共存により、Coが低価数化し酸素イオン(O2-)との結合力が低下したものと考える。