Au–Al–Yb合金正二十面体型準結晶は、Ybイオンが非整数価数状態をとるという価数揺らぎを持つ系である。この準結晶のYbイオン価数の圧力依存性を調べるために、Ybの価数変化がイオン半径の変化を通じて構造に反映されることを利用して、高圧下のX線回折実験による構造観察を行った。参照系のAu–Al–Tm準結晶の結果と比較することにより、Yb価数変化に関わる構造変化を抽出した。12 GPa までの加圧において、Yb価数が、加圧初期段階で急激に増加する一方で、加圧とともにその増加率が大きく鈍っていくことを示す結果が得られた。