抄録
琥珀の主成分は高分子有機化合物であり、これまでの出土琥珀の産地推定は主成分である有機物の分析により実施されてきた。しかし、有機物の化学変化による劣化などの影響により産地推定が困難な場合が多いことが分かってきた。そのため、琥珀に含まれる微量の無機元素に着目し分析することで産地推定を試みた。元素分析は放射光蛍光X線分析により実施した。その結果、標準試料と出土資料のいずれにも土壌に由来すると見られる微量の無機元素が検出された。
さらに標準琥珀について、産地ごとの検出元素の傾向を調べた。その結果、検出元素に幾分ばらつきはあるものの一定の傾向がみられることがわかった。