抄録
真核生物においてタンパク質の誤配送は細胞毒性を引き起こすため、細胞内には誤局在したタンパク質を速やかに除去する機構がある。ミトコンドリア外膜に局在する AAA-ATPase Msp1 は、ミトコンドリア外膜に誤って挿入したテイルアンカー型タンパク質を膜から引き抜く機能を持つ。本研究は、Msp1 のX線結晶構造解析を行い、この基質を膜から引きずり出す仕組みを構造生物学的に解明することを目的とした。これまでに、Msp1 の AAA-ATPase ドメインの結晶を得ることに成功し、3.0 Å 分解能の native データおよび 3.5 Å 分解能の Se-SAD データを取得した。