抄録
本研究の目的は、当社の高周波用 MnZn フェライト(B40)の磁区構造を観察することにより、従来品と比較して高周波で優れた低損失特性を示す起源を解明し、さらなる高特性材料開発の指針構築とすることにある。
分光型低エネルギー電子・光電子顕微鏡装置(SPELEEM、BL17SU)[1] を用い、磁区観察を行った。その結果、B40 材は結晶粒径が約 3 μm、磁区サイズも約 3 μm と小さいことがわかった。磁区サイズが小さいことより、磁壁密度は増える。磁壁密度が増えると磁壁は単位磁場当たりの移動距離が短かくなる。それにより、残留損失の一部と思われる、磁壁内で発生する異常渦電流損失の低減が図れ、また、結晶粒径が小さいことより、渦電流損失の低減が図れたものと推察される。