抄録
銅ゼオライトは、ディーゼルエンジン排ガス中の窒素酸化物浄化に適した触媒材料であるが、使用環境が過酷であり、既存材料の水熱耐久性が充分ではないことから一層の性能向上が求められている。細孔径が比較的大きいゼオライトの水熱耐久性向上にリン酸処理は有効であるが、チャバサイトのように細孔径の小さいゼオライトではその効果は期待できないとされてきた。今回、シリカアルミナ比が約15の銅チャバサイトにリン酸処理することで、水熱耐久後の浄化性能が向上した材料を得ることができた。構造解析の結果、リン酸処理の効果は、P と Cu の直接の協奏効果で活性点構造が変化して性能向上しているのではなく、水熱耐久時に P と Al によって SAPO 類似構造が生成して O 原子平面4配位 Cu2+ 種のチャバサイト骨格からの離脱を抑制しているためと推定された。