抄録
希土類に分類されるスカンジウム(Sc)は、合金添加剤等に用いられる工業上重要な元素でありながら、ほとんど他種金属の副産物として産出する。そのため、Sc を効率的に選択分離する技術の確立が求められている。本研究では、ジグリコールアミド酸型官能基を導入した樹脂による Sc の選択吸着について、樹脂に吸着した各種金属イオンの配位構造の視点から検討を行うため蛍光収量 XAFS 測定および構造解析を試みた。その結果、Sc の樹脂中における吸着部位は La および Ce と同一であることが示唆され、Sc の選択吸着分離は吸着構造そのものの特異性というわけではなく、吸着の結合力など構造以外の要因によるものという可能性が示された。