抄録
カチオン性ポリマーブラシ薄膜にポリアニオンとポリカチオンを交互積層して調製した荷電高分子多層積層薄膜の水和水における水素結合ネットワーク構造を、高輝度放射光赤外光を利用した顕微赤外吸収分光測定により研究した。ポリイオンコンプレックス形成により実効電荷が低下するため複合薄膜は高度に疎水化し、水滴接触線外縁部の顕微赤外吸収スペクトル測定、液滴後退部における赤外吸収スペクトル測定では水和水に起因するスペクトルを測定することができなかった。すなわち、荷電高分子多層積層薄膜は高度に疎水化するため水和水量が微量であり、直ちに乾燥するため、高分子電解質薄膜で適用していた顕微赤外吸収分光測定によるアプローチでは水和水の水素結合ネットワーク構造の解析が不可能であった。