2018 年 7 巻 p. 1-6
本研究は日中両国の地方都市に住む高齢者を対象に、地域高齢者が考える人生の最期の迎え方に対する認識を明らかにし、終末期療養の現状と課題の把握及び、両国の違いについての考察をすることを目的とし、質問紙調査を実施した。その結果、日本では高齢者の孤立化や孤独死増加の危惧、終末期療養ニーズの潜在化が、中国では在宅療養を支援する体制が不十分であるという現状が明らかになった。また、死への不安と恐怖感を表す死生観の比較では、日中それぞれの文化的・社会的要素が、「死」について考えるきっかけに影響を及ぼしていることが見出された。更に、日中双方で「自宅」での終末期療養ニーズが高いということが明らかになった。その中で、日本では「周囲の者に迷惑をかけない」、中国では「経済的な不安や身体的な苦痛への心配」という文化的特徴が浮き彫りとなった。それぞれのニーズに沿った社会支援と体制整備の必要性が示唆された。