2022 年 13 巻 1 号 p. 13_31-13_37
【目的】本研究では理学療法分野における初年次キャリア教育が進路選択に対する自己効力に及ぼす影響を検討した。【方法】非ランダム化比較試験を採用し,介入群は初年次キャリア教育科目を受講した医療系大学理学療法学科1年生88名,対照群は該当科目を受講していない他キャンパスの理学療法学科1年生64名とした。アウトカムとして進路選択に対する自己効力尺度と職業キャリア・レディネス尺度を介入前後で調査し,分割プロットデザインによる分散分析を実施した。【結果】進路選択に対する自己効力尺度のみ,介入の有無と測定時期の間に交互作用を認めた。事後検定の結果,介入群において,介入前と比較して介入後に有意な低下を認めた。【結論】理学療法士養成課程の学生に対する初年次キャリア教育は,進路を選択・決定する過程で必要な行動に対する遂行可能感を低下させることが示唆された。