2015 年 6 巻 1 号 p. 6_45-6_51
【目的】起居動作の獲得に難渋していた症例に対して,課題分析と得点化による評価,介助を要する下位項目に部分法を用いた動作練習を実施し,その効果について検討した。【方法】60歳代後半の左片麻痺を呈する症例に対して30病日より介入を開始した。課題分析により起居動作を8つの下位項目に分類し,下位項目毎に要した手がかり刺激により得点化を行った。そして36病日(介入6日目)より改善がみられなかった項目において部分練習を実施した。【結果】全体法のみの5日間では,3・4・5日目の点数の増加はみられなかったが,部分法で実施した5日間では,6・8・9・10日目と点数が増加し,動作の改善を認めた。結果として42病日(介入10日目)で起居動作の獲得に至った。【結論】一連の動作を通して反復するだけでは学習が進まない場合,できない動作を部分的に練習して単純化することにより運動学習が促進される可能性が考えられた。