2021 年 10 巻 2 号 p. 55-69
近年,様々な決済手段が提供されるようになり,生活者は,自らのライフスタイルに適した決済手段の選択を求められるようになってきた。また,預金口座残高,利用限度額というように,決済のためにアクセスする情報は決済手段によって異なり,自らの情報をどのように管理・把握したいかという感覚は,生活者の日々の決済手段の選択に対して,大きな影響を与えているものと考えられる。
アクセスする個人の情報が異なる決済手段として,クレジットカードとデビットカードがあり,デビットカードは,決済のたびに預金口座残高の情報にアクセスし,残高を更新する特徴をもつ。一方で,どのような生活者がデビットカードを好むのか,あるいはデビットカードは非利用者からどのような不安を抱かれているのかという点について,これまで実証的に検討されてこなかった。
これを踏まえ本稿は,決済手段の預金口座情報へのアクセスに対し生活者が受ける印象について考察すべく,クレジットカードよりもデビットカードの利用を好む人が,決済手段の選択において重視している点や重視していない点を検討したものである。プロビットモデルの推計による分析を行った結果,預金口座残高の管理を重視する人ほどデビットカードを利用するといった男女共通の傾向とともに,男性は使いすぎの防止を重視する人ほど,女性は使いすぎの防止を重視しない人ほどデビットカードを利用している等,男女で異なる傾向も確認できた。