社会情報学
Online ISSN : 2432-2148
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ISSN-L : 2432-2148
10 巻, 2 号
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基調講演
原著論文
  • 日高 真人, 松田 裕貴, 諏訪 博彦, 多屋 優人, 安本 慶一
    2021 年 10 巻 2 号 p. 23-36
    発行日: 2021/12/31
    公開日: 2022/01/25
    ジャーナル フリー

    スマートツーリズムは,世界的に注目を集めている。その構成要素の一つとして,ユーザの観光履歴や嗜好に基づく推薦システムが多く提案されている。一方で,マーケティングの分野では,近年,パーソナリティや動機などの心理的要素に着目した推薦の研究がなされているが,観光分野では少ない。そこで,本論文では,どのような特性のユーザにどのような推薦をすべきかを明らかにするために,観光客のパーソナリティに着目し観光行動との関係性を分析する。具体的には,「観光客のパーソナリティの違いによって観光行動(観光行動エリア・観光行動カテゴリ)が異なるか」について検証を行う。検証のために,1,000人に京都観光を想定したアンケート調査を実施している。検証の結果,観光客のパーソナリティの違いによって観光行動が異なることを確認している。具体的には,外向性が低い観光客は清水寺などの人気のある観光エリアに行きやすいなど,を明らかにしている。また,その結果に基づいて,外向性が低い観光客に対しては観光スポットの人気度を示したり,他の観光客からのレビューを表示したりするなど,パーソナリティに合わせた観光推薦について考察している。

  • 記虎 優子
    2021 年 10 巻 2 号 p. 37-53
    発行日: 2021/12/31
    公開日: 2022/01/25
    ジャーナル フリー

    日本では,上場会社の株主総会は6月下旬の特定の時期に集中する傾向がある。株主総会が特定の時期に集中すると,複数銘柄を保有している株主にとっては総会への出席の機会が制約されることとなり,出席できない株主が総会における議論や説明を知ることが困難となる。したがって,株主総会はできるだけ分散して開催し,株主に対して総会出席の機会を保障することが望ましい。それゆえ,どのような企業特性が他の企業の株主総会と重複する度合いが低い日に総会を開催することを促すのかを解明することは,重要なリサーチ・クエスチョンである。

    本稿では,内部統制システムに着目して株主総会の開催日の分散に寄与する企業特性を具体的に解明し,内部統制システムの構築に際する企業の透明性志向の強さが総会の開催日の分散に資することを実証的に示している。

    まず,会社法に基づく内部統制システム構築の基本方針についての適時開示を利用して,基本方針の具体的内容をテキスト型データとして手作業で収集した。そして,計量テキスト分析を用いて,基本方針のテキスト型データの中に企業が内部統制システムの構築に際して企業の透明性を重視していることが表象されているかどうかを識別し,企業の(目に見えない)透明性志向を数量化した。その上で,企業が内部統制システムの構築に際して企業の透明性を重視するならば他の企業の株主総会と重複する度合いが低い日に総会を開催するのかどうかを検証した。

研究
  • ―デビットカードの利用と個人特性との関係の分析―
    尾室 拓史
    2021 年 10 巻 2 号 p. 55-69
    発行日: 2021/12/31
    公開日: 2022/01/25
    ジャーナル フリー

    近年,様々な決済手段が提供されるようになり,生活者は,自らのライフスタイルに適した決済手段の選択を求められるようになってきた。また,預金口座残高,利用限度額というように,決済のためにアクセスする情報は決済手段によって異なり,自らの情報をどのように管理・把握したいかという感覚は,生活者の日々の決済手段の選択に対して,大きな影響を与えているものと考えられる。

    アクセスする個人の情報が異なる決済手段として,クレジットカードとデビットカードがあり,デビットカードは,決済のたびに預金口座残高の情報にアクセスし,残高を更新する特徴をもつ。一方で,どのような生活者がデビットカードを好むのか,あるいはデビットカードは非利用者からどのような不安を抱かれているのかという点について,これまで実証的に検討されてこなかった。

    これを踏まえ本稿は,決済手段の預金口座情報へのアクセスに対し生活者が受ける印象について考察すべく,クレジットカードよりもデビットカードの利用を好む人が,決済手段の選択において重視している点や重視していない点を検討したものである。プロビットモデルの推計による分析を行った結果,預金口座残高の管理を重視する人ほどデビットカードを利用するといった男女共通の傾向とともに,男性は使いすぎの防止を重視する人ほど,女性は使いすぎの防止を重視しない人ほどデビットカードを利用している等,男女で異なる傾向も確認できた。

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