社会情報学
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原著論文
啓発教育受講経験とフィルタリング利用との分析による携帯電話安全利用に向けた啓発教育政策のあり方の検討
齋藤 長行新垣 円
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2018 年 6 巻 2 号 p. 15-30

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抄録

我が国では,青少年のインターネットの安全確保に向けた方策として,フィルタリングの利用が努力義務として法律に規定されている。しかし,近年フィルタリングの利用率が低下している。この様な状況に対する社会的な方策として啓発教育が国策として実施されている。本稿では,青少年に対する啓発教育と実際のフィルタリング利用の関係について分析を行った。分析の結果では,2009年から2013年にかけて青少年の啓発教育の経験数は増加傾向にあるが,その教育の経験がフィルタリング利用に与える影響は学齢期において差が生じていることが明らかになった。この結果から,フィルタリングの利用普及のためには,現行の啓発教育の実施方策を改善していくことが必要であると考えられる。そこで,本稿の分析結果を踏まえて次にあげる3つの対策を提言した。1)啓発教育の実施をより一層強化してゆく。2)啓発教育の提供のタイミングとして,青少年が携帯電話を購入する前に啓発教育を提供する。3)フィルタリングの画一性の問題に対する対応として,青少年の発達段階に応じたフィルタリングのカスタマイズ機能に対して青少年と保護者の理解を高めることを挙げた。

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