2018 年 3 巻 p. 12-14
地上におけるマイクロ波電力伝送システムが広く社会に受け入れられるためには,通信との干渉や人体への影響を最低限に抑えることが重要である.本報告では,信号の到来方向にビームを再放射するレトロディレクティブを送受電アンテナの両方に適用した両側レトロディレクティブシステムを新たに提案する.漏洩の少ないビーム状のパイロット信号を用いることにより,水平伝搬におけるマルチパスの問題に対応することが可能となる.また,送受電アンテナの両側でレトロディレクティブを繰り返すことにより,大気ゆらぎやアンテナ振動に追従しながらシステム外部へのエネルギー漏洩が自己収束的に極小化することを述べる.