科学・技術研究
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原著
2段分布定数回路による全固体電池のLi析出抑制法の考察
仁科 辰夫 伊藤 智博立花 和宏
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 10 巻 1 号 p. 57-60

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抄録

現在、ポストリチウム電池として全固体電池が注目されている。全固体電池は引火性の強い有機溶媒を使用しないため安全性が高く、急速充電が可能であると喧伝されている。しかし、現在の全固体電池では急速充電時の負極へ金属リチウムが析出し、正極とのマイクロショートが問題となっている。液系LiBに対する電極モデルとしての2段分布定数回路の手法を全固体電池にも応用し、その解析関数の導出に成功した。この解析関数を活用して、合材電極内の電流分布を短時間で一様化する条件を探索した。その結果、電子抵抗をイオン抵抗の40%程度とすることで、充放電速度を犠牲にすることなく電流分布の均一化が期待でき、金属リチウム析出の抑制が期待できることが分かった。具体的にはSiなどの電子抵抗の大きな活物質材料との混合使用により、容量を犠牲にせずに電子抵抗の調整をはかることが有望であろう。

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