科学・技術研究
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原著
味関連データを基にした日本酒の味のマッピングと分類化
野田 博行
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 11 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

日本酒の味を糖度(Brix値)計と酸度計、味覚センサーを用いて調べた。試料として、100点の国産日本酒を用いた。味覚値は味覚センサーを用いて、酸味、塩味、旨味、苦味雑味および渋味刺激の5先味と旨味コク、苦味および渋味の3後味を測定した。それぞれの味データを解析した結果、日本酒の味の指標として、Brix値(甘辛)、酸味値(辛さ)および旨味コク値(旨味)が適していると考えられた。この3つの指標を用いたクラスター分析により8つのクラスターに分類された。8つのクラスターをそれぞれの数値を基に、Brix値による甘辛の定義から、クラスター2と3は甘口、これ以外は辛口と判定した。また、濃淡は、酸味値を+4から–2(酸味が強いとプラス)、旨味コク値を+3から–1(旨味が強いとマイナス)で総合評価した。酸度と日本酒度による味分類を基に、辛口でプラスの場合は淡麗辛口、マイナスの場合は濃淳辛口と分類した。甘口でプラスの場合は濃淳甘口、マイナスの場合は淡麗甘口と分類した。その結果、酸度と日本酒度による分類に比べ、濃淳辛口への極端な集中はみられなかった。以上のことから、味の指標として、Brix値、酸味値および旨味コク値を用いることにより、日本酒の味を概ね4つの味に分類でき、酸度と日本酒度による分類より味の違いを見分けられる可能性が示唆された。

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